30歳からジャズに熱中したらどうなるのか実験室

いい大人になってからジャズギターを本気で愛してしまった痛い男のブログ

カテゴリ: 映画感想文


ジャズトランペッター&ボーカルのチェット・ベイカーを描いた映画Born To Be Blue(ブルーに生まれついて)を、渋谷Bunkamuraで観てきた。しかも菊池成孔さんと湯山玲子さんのトークショーも付いていて、超おもしろかった。むしろ映画よりもおもしろかったかもしれない。このトークショーを聞いたのと聞いていないのでは、この映画の見方が全然違うし、数百倍おもしろくなると思う。ラッキー。

ややネタバレがあるので、ご一読いただける際は、ご注意ください。

珍しく撮影が許可されており、一枚だけパシャリとしておいた。

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ジャズサックス奏者&ジャズ評論家の菊池成孔は一番右。Tシャツにストローハットという夏のような出で立ち。腕にはタトゥーしているんですね。左は司会の方で、真ん中が湯山玲子さん。

30分ばかりのトークショー、ちょっとまとめておきたい。
マジ超おもしろかった。特に菊池成孔さん。知識の泉って感じ。

映画Born To Be Blueについて


菊池成孔さん

  • 伝記映画風のフィクションで、完全なフィクションでもない。現実にあったことを素材としながらも、それぞれをパッチワーキングしているという変わったファンタジー映画。タイムラインなども少し飛んだりする。まさにインターネット世代の映画。
  • 奥さんは実在しない人物。ウィリアム・クラクストンの撮った写真集でチェットと一緒に写っていたモデルの女性を奥さんに仕立てた。
  • 最後のシーンは、BIRDLANDで演奏してるが、実際はHALF NOTE。さらに、マイルスももうその時既にアフロだから、スーツにあの髪型というのはありえない。
  • チェット・ベイカーが無毒化されて描かれている。チェット・ベイカーの伝記は「終わりなき闇」という本があるが一読するとうつ病になるほどヤバイ。チャーリーパーカーどころではない。ダメ人間。あまり才能ないから没落した(そうなのか笑)。
  • なぜそうしなくてはならなかったのかというところに、アメリカ社会の病を感じる。20世紀はそんなに悪くなかったやつを悪く描いた。21世紀は逆。アメリカ世間が疲れてる?
湯山玲子さん
  • アーティスト=表現者であり、一般人とは違っているが、女性はそういう人に惹かれやすい。女性は、誰かのために生きたいという滅私奉公的な依存性がある。
お二人の共通認識
  • エレインが物語の中核。映画の根幹は恋愛。エレイン(ジェーン)はすごく良い女の生き方、理想の女性像が描かれており、「こんな奥さんいたらいいな」という、ここにアメリカ人の病理が現れてる。

主演俳優イーサン・ホークについて

  • トランペット演奏は驚異的に素晴らしい。チェットそのもの。制作側はチェットベイカーの音源は一切使っていないことを公表している。普通の人が10年やってもできないのに、半年でやったとはすごい。
  • 一方、ボーカルは・・・
  • イーサン・ホークの演奏で、そのままサントラになっており、ジャズ映画で初。
  • 最近売れてきた俳優で、いろんなオーディションに出ていたが、リバー・フェニックスに負け続けた。病むことは悪いことではない。その病によって脂が乗っている。
チェット・ベイカーについて
  • 女の声で歌いやがってという批判が多かった。高くて弱々しい声。ヒップホップもジャズも今も昔もマッチョの世界なので。
  • しかし、そのチェットの歌い方が、ジョアン・ジルベルトにヒントを与え、ボサノヴァのウィスパーボイスに繋がったとも。
ジャズの習得について
  • 湯山さんの質問)イーサン・ホークの短期修得はすごいが、菊池さんもサックスを習得した時、理想の人物像を降ろしたりしたのか?
  • (菊池さんの答え)最初はコピーから始める。モノマネ芸人と同じ。で、そこからだんだん自分流にする。
    (→ギタリスト矢堀孝一さんも、ウェス・モンゴメリーもこんな感じのこと仰ってたな )
ジャズという難しい音楽がなぜ世にウケたのか?
  • ジャズは二枚舌。オスカーピーターソンとかビッグバンドはポピュラーミュージック。一方、ビバップはアンダーグラウンド音楽。
  • 55年以降アメリカは変わる。エルヴィスプレスリーなどロックンロールなどで、ビバップは外に追いやられた。66年、ビートルズの全米デビューがさらに追い討ち。

他にもいろんな情報が飛び交っており、上記のメモも少し間違えているかもしれないけど、こんな感じです。いや〜、すんごい勉強になった。


さて、僕個人の感想。

なぜこの時代のジャズミュージシャンがこれだけ薬漬けになってしまったのか、ということを考えた。確かに芸能の生業とする方の薬事件は現代でもちょいちょいあるけれども、今のジャズミュージシャンたちは結構クリーンな気がする。少なくともmuch clearnerではあるだろう。

一つの仮説としては、ジャズという一つの驚異的な芸術を生み出すパイオニアたちは、薬でもないとあれを創り上げることができなかったのかなということ。そうして先人たちの積み上げにより、それらは理論化され、薬の力を頼らなくとも理論の力で、現代人はそれらを習得することができる、、、のかな?

チェットはラストシーンで、こんな感じのことを言う。(ネタバレ注意!)
「薬があると、
タイム感が広く感じられるようになるんだ。
それだけじゃない。一つ一つの音に入れるようにもなるんだ。」

ヘロインをやった経験は当然ないから、よくわからないけど、こういう感覚がなかったら、ジャズは生まれなかったのかもしれない。

あとは、怪我人でもコツコツ努力を重ねれば復活できるのかなという点で、チェットの顔面破壊と僕個人の頚椎ヘルニアが重なった。俺もがんばるぞー。

そんな感じのゆるいレポートでした。

チェット・ベイカーの音源をもっと聴こうということ、
それと菊池成孔さんをウォッチしていこうと思った。
あ、でもTwitterやってないぽいな。

PS。ずっとこのブログ、「湯川れい子」って書いてたら、ちゃんと調べたら「
湯山玲子」だった。。。


  



パコ・デ・ルシア 灼熱のギタリスト

という映画を観てきた。(7/23から公開)
公開二日目、@渋谷Bunkamuraのル・シネマ、日曜最終回で、観客の入りは7割程度か。
ちなみに、日曜最終回は火曜終日と同様、料金が1800円→1100円とお得! 

http://respect-film.co.jp/pacodelucia/



これだけの天才ギタリストを今まで知らなかった自分が恥ずかしい。。。
でも知れてよかった!

フラメンコギター。あれだけ早く、正確に弾くなんて。。。
思わず比較してしまったが、自分の演奏能力と比べると
彼我の差がありすぎて、ちょっと引いたw

でも彼の演奏は、聞いててすごく心地よかった。
やっぱ早弾きって気持ちいいですよね。
同じ早弾きのAndreas Obergとかもすごく好きです。

さて、映画の中で印象に残った、パコデルシアの言葉を書き留めておきます。
(そのまま抜粋ではないです)


●リズムが一番大事。ギターを持つ前から父親にリズムを鍛えられた。

●私の生き方も即興演奏のようなものだ。
何かをする時に前もって計画を立てたりしない。

●観客からどんなに喝采を浴びても自分が失敗だと思えば嬉しくない。

●自分の感じたものは大事にする。
でも人には内緒にしておく。言わない。

●孤独が好きだ。人生の80%は一人で過ごした。
周りのギタリストもイカれたやつばかりだ。


フラメンコ観に行きたいな〜、できれば本場スペインで。
そして、やっぱガットギター欲しいなぁ。



  


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