30歳からジャズに熱中したらどうなるのか実験室

いい大人になってからジャズギターを本気で愛してしまった痛い男のブログ

2016年12月


ウェスの本をなんとなく図書館で借りてみた。

あまり本気で読むつもりはなかったのだけど、どんどん次が読みたくなる本、読んでよかった本だった。

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ウェスの経歴だけでなく、演奏スタイルや音楽的センス、人柄に至るまで結構詳細にわたって書いてあった。しかも出典も明記されている。ジャズファン、ウェスファンにとっては、非常に貴重な資料ではなかろうか。Wikipedia日本版の情報ではわからなかったことがたくさん書いてあったし、貴重な写真もたくさんあるし。

すごくいい本だったので、メモをしておきます。


この本でわかったこと
  • ウェスモンゴメリーの人柄は、温厚、控えめ、素直、家族第一。ジャズミュージシャンにして、麻薬、酒、女遊びとは無縁だったとか。チェーンスモーカーではあったみたいだけれど。
  • ウェスは、後年A&Mレーベルに移籍してからはコマーシャル路線に傾いていって成功を収めた。評論家やジャズファンからは残念がられたが、ウェスとしては家族を養うための選択だった。
  • ウェスといえば、なんといってもオクターブ奏法、親指奏法だが、その他にもシングルノートソロ、コードワークも素晴らしかった。
  • ウェスがギターを始めたのは、19〜20歳とは世間で言われているが、4弦ギター(テナーギター)を12歳以前から弾いていた。
  • 音楽的正規教育を受けておらず、独学。楽譜も読めないが、非常に耳がよかった。
  • 正規教育がなかったからこそ、常識をぶちやぶる演奏を習得した。例えば、オクターブ奏法の可能性を大きく広げた。
  • チャーリー・クリスチャンが、ベニー・グッドマンと共演している「ソロ・フライト」に衝撃を受け、ギターを買ってから8ヶ月間ほどでチャーリー・クリスチャンのレコードを完コピした。
  • 他のモンゴメリー兄弟もミュージシャンであり、よく一緒にプレイしていた。
  • ウェスの注目していたジャズミュージシャンは、ジョン・コルトレーンやマイルスデイビス、ソニー・ロリンズなど、ホーンプレイヤーが多かった。
  • ウェスの注目していたギタリストは、まず、バーニー・ケッセル。彼のフィーリング、コード概念、常にいろんなことをすること、ホーンフレーズ。そして、タル・ファーロウ。ドライブするところ、コードの概念。そして、ジミー・レイニー。スムーズさ、間違った音を弾かず、シフトなタッチ。
  • 所有していたギターは、L5 CES、L4、175D、125Dなどなど。
  • L5に使用していた弦は、ギブソンのハイファイ・フラットワウンドで、014, 018, 025, 035, 045, 058(3弦以上が巻き弦)
  • リバーブとトレモロのコンビネーションを気に入っていた。使用していたスタンデール、フェンダーのアンプに標準装備されている。
  • 巷のギターアンプには音的にあまり満足していなかった。

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以下、個人的に印象に残った箇所を引用させていただきます。


「何事も人生と関わりがあるんだ。ミュージシャンによっては、音楽をやることがきわめて個人的なものだと感じているために、それだけに集中しようとして、他の世界とは関わりを持とうとしない。僕はそこまで音楽に携わろうとは思わない。そのために他のことに対する興味を失いたくないし、僕にとって音楽はいまだに趣味なんだ」

耳が痛い。。。。
バーニー・ケッセル、ウェスを語る
「人間的には根本的にどっしりと地に根ざし、誠実だっていうことだろう。…中略…控え過ぎず、出過ぎず、利己的過ぎず、ただひたすら温かかった。ギターを道具として使っていたと思う。つまり彼の内部に音楽があるわけで…中略… だってただただ自分の内なる音楽を音にして出したかったんだ。

チャーリー・クリスチャンのレコードを本当によく聴いたよ。僕にもできるはずだって思った。やろうって決心したんだ。6-8ヶ月経つと、僕はレコードのソロを全部弾けるようになっていた。そしてクラブでそれをその通り弾くという仕事を始めたんだ。

世界中のどの美術館へ行っても、巨匠のコピーを忍耐強くやっている向上心に燃えた画家を見つけることが出来るだろう。同様に、若いミュージシャンは自分の好きなミュージシャンのレコードを聴いてテクニックと自己表現の方法を吸収するものだ。たとえば私が演奏を始めた頃、チャーリークリスチャンのパートをレコードで一生懸命聴いたものだ。

やっぱ最初はとことんコピーをするのがいいのかなぁ。

クレッセンド誌の1965年7月号に掲載されたギター座談会で、ウェスは映画を見に行くといつでもサウンドトラックのコード進行がわかったと語っている。

すんごい耳。。。
 
「プレイヤーは自分で問題を解決していきながら、自信を築き上げていくものなんだ。能力の限界があったとしても気にすることはない。親指で弾くことと、オクターブ奏法も、そうした限界があったからこそ生まれたものなんだ。僕たちには限界があるだろうけど、それはそれとして認めた上でそれを超えた意味のあるものを作りあげなくちゃいけない。僕がやってることは技術的には正しくないかもしれないけど、それでも音楽はちゃんと生まれてくる。僕は僕のことを伝えるために演奏しなくちゃならないからさ」

これに近いことを、メンタリストDaiGo氏も仰っていました。具体例として、TEDにも登壇されている、フィル・ハンセンというアーティストを挙げています。彼は、元々超精緻な点描画を書いていたそうですが、ある日から手の震えが止まらなくなり、嘆いていたたけれど、逆にその手の震えをそのままに絵を描いたら成功した、と。つまり制約条件は時として才能を開花されるものになると。

ジャック・デュアルテ
彼はフィンガーボードの仕組みについて関心がなかった。しかし、どこを弾けばどんな音が出るのかはよく知っていた。


非常に自己批判的。演奏についてずっとに苦労し続け、とりわけ自分の演奏について不安がっていた。

1966年10月号 ギタープレイヤー誌
几帳面に、忍耐強く、一生懸命に、彼はギターに精を出した。その複雑さに屈服させられそうになったり、自分の頭の中にあるハーモニックパターンに腕がついてこないことに苛立ちながら。彼はギターの入った楽器編成なら、地元のバンドであれ、ツアーでやってきたバンドであれ必ず見に行った。そしてギタリストの手だけを集中的に観察した。彼は8ヶ月間一生懸命に練習した。自分の買ったものをムダにしまいと心に決めて。

ソロ・フライト(ベニーグッドマンとの共演)が凄い、今でも僕は聴いているんだ。


僕はミュージシャンになろうなんてまったく考えたこともなかった。

音楽は趣味だ、とも。

僕はギターのテクニック面に関してそんなに気にならない。フィーリングを大切にしたいんだ。


何か別のことを始めようとする前に、やるからには完全に仕上げなきゃとか、すごく時間がかかるだろうななんて思ってしまう

本書の中にも「天才「才能」と並ぶが、確かにある程度はそうなのかもしれないが、ちょっと違和感があって、それは、キンコン西野さんがブログで、才能で難なく成功しちゃったという人を見たことがない。皆圧倒的努力をしてきている、的なことを書いておられたから。そして、このウェスのコメントからわかるのはウェスほどの達人でも、何でもかんでも簡単に習得できるわけではないということ。

で、こんな貴重な写真も!!ウェスのアンプ(と同じ型)!
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これ、図書館さん、ぜひ大事に所蔵しておいてほしい。
それか買いたいなぁ。


  


音感トレーニングを始めて、改めて感じたことがある。

それは、何かを覚えるときはリズムに乗りながらやった方がいいのではないかということ。

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その理由は2つ。
1、単純作業を反復し続けやすい
2、その方が体が覚えやすい気がする



音感の練習、イヤートレーニングは、曲の練習よりもさらに単調になりやすい、と僕は感じている。 テキストに載っているExerciseは、あまり音楽的ではなかったりする。やっぱり好きな曲を練習したり、好きなミュージシャンのコピーしたりしている方が楽しい。そうすると、飽きやすいし、集中力が続かない。(やってるつもりでも違うこと考えちゃったりする)

そんなことに気が付いた。

そして、パッと思い立って、メトロノームを鳴らすことにした。

これが効果覿面な感じがする。

これからは音感トレーニングに限らず、どんな練習する時も常にメトロノームを鳴らすようにしたいと思う。メトロノームを酷使してやる!! 


ちなみに、ちなみに。スマホにもメトロノームを入れているが、多機能性というのも一長一短だなと思った。僕のスマホは音楽の練習時には、メトロノームであり、レコーダーであり、マイナスワン流し屋さんであり、また耳コピのヘルパーでもあり、いちいちアプリ間を移動するのも、それはそれで面倒くさい。
そこで、写真のYAMAHAの単機能メトロノームは最近眠っていたのだけれど、また傍に置いておくことにした(実際にはチューニング用の音が鳴る機能もありますが)。こっちの方がストレスが少ない気がする。
 
単機能であることの良さもあるなと感じた12月の昼下がりでした。



  


ジャズトランペッター&ボーカルのチェット・ベイカーを描いた映画Born To Be Blue(ブルーに生まれついて)を、渋谷Bunkamuraで観てきた。しかも菊池成孔さんと湯山玲子さんのトークショーも付いていて、超おもしろかった。むしろ映画よりもおもしろかったかもしれない。このトークショーを聞いたのと聞いていないのでは、この映画の見方が全然違うし、数百倍おもしろくなると思う。ラッキー。

ややネタバレがあるので、ご一読いただける際は、ご注意ください。

珍しく撮影が許可されており、一枚だけパシャリとしておいた。

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ジャズサックス奏者&ジャズ評論家の菊池成孔は一番右。Tシャツにストローハットという夏のような出で立ち。腕にはタトゥーしているんですね。左は司会の方で、真ん中が湯山玲子さん。

30分ばかりのトークショー、ちょっとまとめておきたい。
マジ超おもしろかった。特に菊池成孔さん。知識の泉って感じ。

映画Born To Be Blueについて


菊池成孔さん

  • 伝記映画風のフィクションで、完全なフィクションでもない。現実にあったことを素材としながらも、それぞれをパッチワーキングしているという変わったファンタジー映画。タイムラインなども少し飛んだりする。まさにインターネット世代の映画。
  • 奥さんは実在しない人物。ウィリアム・クラクストンの撮った写真集でチェットと一緒に写っていたモデルの女性を奥さんに仕立てた。
  • 最後のシーンは、BIRDLANDで演奏してるが、実際はHALF NOTE。さらに、マイルスももうその時既にアフロだから、スーツにあの髪型というのはありえない。
  • チェット・ベイカーが無毒化されて描かれている。チェット・ベイカーの伝記は「終わりなき闇」という本があるが一読するとうつ病になるほどヤバイ。チャーリーパーカーどころではない。ダメ人間。あまり才能ないから没落した(そうなのか笑)。
  • なぜそうしなくてはならなかったのかというところに、アメリカ社会の病を感じる。20世紀はそんなに悪くなかったやつを悪く描いた。21世紀は逆。アメリカ世間が疲れてる?
湯山玲子さん
  • アーティスト=表現者であり、一般人とは違っているが、女性はそういう人に惹かれやすい。女性は、誰かのために生きたいという滅私奉公的な依存性がある。
お二人の共通認識
  • エレインが物語の中核。映画の根幹は恋愛。エレイン(ジェーン)はすごく良い女の生き方、理想の女性像が描かれており、「こんな奥さんいたらいいな」という、ここにアメリカ人の病理が現れてる。

主演俳優イーサン・ホークについて

  • トランペット演奏は驚異的に素晴らしい。チェットそのもの。制作側はチェットベイカーの音源は一切使っていないことを公表している。普通の人が10年やってもできないのに、半年でやったとはすごい。
  • 一方、ボーカルは・・・
  • イーサン・ホークの演奏で、そのままサントラになっており、ジャズ映画で初。
  • 最近売れてきた俳優で、いろんなオーディションに出ていたが、リバー・フェニックスに負け続けた。病むことは悪いことではない。その病によって脂が乗っている。
チェット・ベイカーについて
  • 女の声で歌いやがってという批判が多かった。高くて弱々しい声。ヒップホップもジャズも今も昔もマッチョの世界なので。
  • しかし、そのチェットの歌い方が、ジョアン・ジルベルトにヒントを与え、ボサノヴァのウィスパーボイスに繋がったとも。
ジャズの習得について
  • 湯山さんの質問)イーサン・ホークの短期修得はすごいが、菊池さんもサックスを習得した時、理想の人物像を降ろしたりしたのか?
  • (菊池さんの答え)最初はコピーから始める。モノマネ芸人と同じ。で、そこからだんだん自分流にする。
    (→ギタリスト矢堀孝一さんも、ウェス・モンゴメリーもこんな感じのこと仰ってたな )
ジャズという難しい音楽がなぜ世にウケたのか?
  • ジャズは二枚舌。オスカーピーターソンとかビッグバンドはポピュラーミュージック。一方、ビバップはアンダーグラウンド音楽。
  • 55年以降アメリカは変わる。エルヴィスプレスリーなどロックンロールなどで、ビバップは外に追いやられた。66年、ビートルズの全米デビューがさらに追い討ち。

他にもいろんな情報が飛び交っており、上記のメモも少し間違えているかもしれないけど、こんな感じです。いや〜、すんごい勉強になった。


さて、僕個人の感想。

なぜこの時代のジャズミュージシャンがこれだけ薬漬けになってしまったのか、ということを考えた。確かに芸能の生業とする方の薬事件は現代でもちょいちょいあるけれども、今のジャズミュージシャンたちは結構クリーンな気がする。少なくともmuch clearnerではあるだろう。

一つの仮説としては、ジャズという一つの驚異的な芸術を生み出すパイオニアたちは、薬でもないとあれを創り上げることができなかったのかなということ。そうして先人たちの積み上げにより、それらは理論化され、薬の力を頼らなくとも理論の力で、現代人はそれらを習得することができる、、、のかな?

チェットはラストシーンで、こんな感じのことを言う。(ネタバレ注意!)
「薬があると、
タイム感が広く感じられるようになるんだ。
それだけじゃない。一つ一つの音に入れるようにもなるんだ。」

ヘロインをやった経験は当然ないから、よくわからないけど、こういう感覚がなかったら、ジャズは生まれなかったのかもしれない。

あとは、怪我人でもコツコツ努力を重ねれば復活できるのかなという点で、チェットの顔面破壊と僕個人の頚椎ヘルニアが重なった。俺もがんばるぞー。

そんな感じのゆるいレポートでした。

チェット・ベイカーの音源をもっと聴こうということ、
それと菊池成孔さんをウォッチしていこうと思った。
あ、でもTwitterやってないぽいな。

PS。ずっとこのブログ、「湯川れい子」って書いてたら、ちゃんと調べたら「
湯山玲子」だった。。。


  



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